コミック担当書店員と版元さんで1巻を売り伸ばすために取り組める施策の全体像(仮)

またしても(仮)記事。

コミック担当者の新刊申込みベストアクション(仮)W3 HelperのHow Toページといった記事は、コミタン!の普段の活動とあわせて1巻の売上を伸ばすという全体像の中の一部です。その整理のために一度まとめを。

コミック担当者と版元さんで1巻を売り伸ばすために取り組める施策はこんなところではないだろうか。

タイミングと課題
書店
版元さん
発売前
(作品が最も”良く”読者の手に届く形で単行本になるまで)
・雑誌を読む
・モニター協力
・雑誌のリリース送付(ナタリーやメール。新連載や読切ほか)
・献本モニターチームを組んで販促案や装丁/帯案などの意見採集
新刊申込み段階
(書店からの精度の高い申込みが最も良い判断材料になるはずだし、それを目指してよいと思う)
・1巻や巻数表記の無いタイトルを調査し、希望数を入力/提出する(星取表が調査の参考になれば)
・仕掛けたい作品についてはその旨をできるだけ版元に伝える(雑誌扱いの新刊指定は難しくとも、配本確定後の即補充や販促物の新規希望は十分に通る話。版元からすれば仕掛け店の数がすなわちタイトルへの期待度で重要な判断要素になるはずだ。コミタン!星取表は版元さんとも共有している。最大公約数的取り組み)
・コミック扱いにしたいタイトルは一覧に載せる
・試し読みサイトの用意(タイトル名SEO。あるいは情報量の多い書店員限定サイト)
・刊行のリリース送付(メールまたは封筒。書影またはそのラフだけでも拝見できると精度があがるので嬉しい。より深い情報でわかる客層や意外な客層があれば知りたい)
発売日まで
・棚設計
・仕掛け店の開拓と発掘
・仕掛け店への初回配本または即補充分のやりくり
・作品に応じて最も効果的な販促物の企画、作成、送付(100の予算を10ずつ10店舗に分配する作品なのか、1ずつ100店舗に分配する作品なのか)
発売後
(このタイトルはまだ伸びるのか、仕掛けは成功したのか。次の仕掛けへの経験値にする)
・配本割れや売上分の補充発注(ウェブ経由では品切れだと注文できない場合があるが、これらの隠れてしまう需要も重版につながるので電話やメールをするほうが望ましい)
・売上動向の共有。成功手法/失敗理由の書店間、版元での共有。特に成功手法は「伸びしろ」や「現行仕掛け店」でも再現性があるかもしれないので重要になる。
・数字の聞き取りやトリプルウィンをはじめとした売上数のモニタリングによる
「仕掛け成功店」のさらなるプッシュ
「現行仕掛け店」の販売サポート
「伸びしろ」の追加注文誘引
「受動店」も無視できない状況作り
W3 Helper参考

コミタン!がいま版元さんと取り組んでいる部分は赤字に。少しずつ赤字の領土を拡げたい。

コミタン!リサーチ 第三回に関する記事

Twitterでの「コミック担当者の1巻重み付け作業について」 アンケートにご協力をいただきありがとうございました。
この記事はアンケートの意図、アンケート結果への愚察と仮説についての書きなぐりです。

今回の母集団をコミック担当者一般とするにはもちろん隔たりがあるものの、Twitterという情報提供が手段がありうる中では大きな意味があるのではないかと思います。

・アンケートの意図
コミタン!としては世の中には面白い1巻がたくさんあると考えているものの、なかなか世の中の実績(=1万部台初版スタートから2巻刊行までの重版)が結びつかない

世のコミック担当書店員は1巻の販売にどう取り組んでいるのだろうか

1巻の評価と仕入れの確保をどのように行っているのだろうか

という掘り下げにより、コミタン!の主な活動内容である毎週のブログ更新/毎月の星取表/版元さんへの提言事業の内容を見直したいたい。
コミタン!は蛸壺化しているのか。

Part.1はコミック担当書店員がそもそも新刊の評価/仕入れを行っているのかどうか
Part.2は1巻を評価するタイミングとして、どのような情報提供ができるのか
Part.3は仕入れに対する困難の解消策の手がかり

・アンケート結果への愚察と仮説
Part.1
78%の書店員が「来月のコミック発売一覧」に目を通し有意な数字を入力している。新刊申込みを軸にした情報共有チャネルには一定の効果があると思われる。

Part.2
63%の書店員が「取次申込み」のタイミング、つまり発売前月の15日までに、発売タイトルについて何らかの調査と評価を行っている。
しかしその調査対象の範囲が月300タイトルある「1巻または巻数表記なし作品」全てに向けられているとは限らない。
コミタン!内でも得意により役割分担が発生している。
何によって調査への選好が起こっているだろうか。レーベルカラーや版元名?

回答2,3により71%の書店員が主に装丁の印象や商品試し読み/販促物、試し読みサイトなどの部分的な情報から販売数の評価をしている。一言での説明や一コマでの印象の重要度や分かりやすさが重視されるのだろうか。
申込み一覧から作品を評価するまでの障壁は少ない方が良い。タイトル名での検索結果からの試し読みサイトへの誘導など。

書店員が実売により1巻のプッシュを判断するのは13%だけでなく残りの書店員にとっても同様。
特に「3入3売が偶然か否か」への判断要素、「まだこれからも売れるという見込み」に関する情報を発売日数日内に提供できることは効果的だと思われる。

Part.3
現状では1巻の刷り部数が縮小傾向にあり、取次/版元共に手持ち部数が少ないと予想される。という状況の中で効果的な1巻確保は手持ち部数の融通であり、取次/版元と店舗/コミック担当者との関係が大きく作用するようになると思われる。
したがって原則としては営業窓口を相手に電話をするべきだが40%の書店が電話をできていない。
→仲介が必要?

・コミタン!の主な活動指針
新刊一覧は申込み〆切までに整えられると良い。配信はそれに遅れてもよい。
1巻の売れた実績への言及?
パイプ役としての機能。

コミタン!リサーチ 第3回 「コミック担当者の1巻重み付け作業について」

Twitterの投票機能を用いての「書店コミック担当者へのアンケート」の集計結果を記事にまとめました。

コミタン!リサーチ 第2回「最近よかった販促物」とか

第2回のコミタン!リサーチは最近よかった販促物について。
匿名化して大雑把にお届け。

・電撃文庫の期間限定でカバーの絵柄が変更(通常カバーと両面印刷)になるフェア。
・集英社『東京喰種Re:』の名刺特典。
・同上 公式サイトで配布店をしっかり宣伝してくださったので、お客様の誘導になっていた。
・白泉社花丸文庫 樋口美沙緒作品描き下ろし小冊子これまでにない厚さ。同作家作品2冊購入が条件だったが、新刊も対象タイトルに  含まれていたので、迷わずリピート買いされるお客様多数。
・『少年ラケット』の編集部手作りPOP(4種類)は使いがいがあった。一番好みだったのはモノクロに先生のイラスト、タイトル、出版社と掲載誌が載っただけのもの。
・「最高の野球人生フェア」やってる事は普通だが、作品の選択が良かった。
・『ULTRAMAN』⑥の特典カード 特定のキャラクターを探しているお客様がいた。
・全然新しくないですが坂本の反復横跳びPOPは今でも好評ですね。作中のシーンとマッチしってるのが良いんだと感じました。
・『ダンジョン飯』のゴーレムも好評です。立体物は基本的に目を惹きます。
・『魔法使いの嫁』新刊4巻に合わせての、既刊1~3巻の重版再配分に対して、特典クリアしおり封入&その告知帯のキャンペーン。
・スクウェアエニックスのはんだくん4巻販売台。キャラクターのマスクがずらせるようになっており、別のキャラクターになるもの。
・スクウェアエニックスさんの販売台は仕掛けが多く好評です。
・講談社のくじ付き。
・『ふしぎの国のバード』の販売台に配布ペーパーが入れられるもの。
・『潔癖男子!青山くん』の除菌ウェットティッシュ。
・最近、裏サンデーの拡材である写真用紙を使ったA4くらいのポスター。
・『FAIRY TAIL』のバッジは好評。←でしたが売り上げは変化なし
・『ごほうびごはん』の立体pop。手作りの物をいただきましたが、出来が良くグルメマンガが乱立する中で埋もれる事なく目立てたと思います。
・同じく。作中っぽいアイテムが入ってくるのは効果が高い。