描画されたグラフ上には大小さまざまな円が偏在しています。それぞれの円のサイズは「店舗数」(大きいほど店舗数が多い)を、円の中心座標のうちx座標はそのタイトルの「消化率」を、同じくy座標は「入荷冊数」(:入)を示します。
発売日初日早朝の時点では「販売冊数=0すなわち消化率=0」で、「一般的に入荷冊数が多い店舗数ほど少なくなる」ことから以下のようなグラフが生成されます。
:発売初日(本描画時は円上に店舗数/入荷冊数/平均売上冊数を示す数字を表示しています)
発売日から数日が経つうち、そのタイトルの市中在庫がどのように変動したか、すなわちどのように実売が分布しているかを描画します。
:発売n日目 (消化率が20%未満で低迷している店舗が多い。また展開店に恵まれていないように見える)
このグラフ上で示すことのできる売り伸ばしの方向性が概ね4つあります。その説明のためにグラフのエリアを簡単に以下の4つに切り分けました。
売り伸ばしを構成するのはふたつの要素、つまり「入荷冊数の増大(左上方向への動き)」と、「消化率の向上(右方向への動き)」です。これらをグラフ上で表現すると以下のようになります。
:方向性の矢印つき
売れているなら追加を取りたくなるのが書店員の常です。いわゆる在庫切れが仇となります。取次の新刊3ヶ月ルールを勘案しつつ薄く広く配本するか、手元在庫を潤沢にするか。
発売前の書店員告知どでこの「現行仕掛け店」に位置する店舗をいかに増やせるか。そしてその後「成功店」に引き上げることが出来るか。
「成功店」から成功の理由や要素を抽出して「現行仕掛け店」へ。これから十年の鍵になる部分だと思われます。
「1入1売」から「5入5売」などのタイトルがはたして目ありのものなのか、それとも偶然なのか。書店員も判断に迷い、あるいは判断せず流してしまっているところです。特に1巻目のタイトルで頭打ちの状況を作りがちなゾーンだと体感しています。
これを「現行仕掛け店」へ移動させるための情報チャネル、またその誘い文句とは。
「売れてます」ではなく、「なぜ、どのようにしたら売れるのか」。「成功店」に知恵と工夫があるのではないかと思います。
年に数冊クラスの爆発的な売れ行き。再現性が高い施策となるかは微妙なところです。
対象タイトルが今どのような売れ方をしているか、それに基づく次の一手をどの層に向けて投げるか、その内容はどのようなものにするか、その参考となれば幸いです。