How to Use W3 Helper

[これって何?]

  1. 1万部台の作品における「実売の偏在」を可視化し、増売のための仮説構築を手助けするツールです。
  2. N社が版元向けに提供する市中在庫の店舗数データをグラフ化することで市中在庫と表裏一体である実売の偏在を表現します。

[グラフの読み取り方]

[使い方]

  1. 新規描画ページ下部で生成するグラフのタイトルを入力します。
  2. N社が出版社向けに提供しているウェブサイト(通称:W3)にアクセスし市中在庫分布データページへ。「在庫冊数」からはじまる該当データ部分全体をコピーし、描画ページのフォームに貼り付けて「描画」ボタンを押します。
  3. 描画に成功したらそのページをブックマークしておくことで、一度作成したグラフは何度でも呼び出すことができます。

[グラフの読み取り方]

 描画されたグラフ上には大小さまざまな円が偏在しています。それぞれの円のサイズは「店舗数」(大きいほど店舗数が多い)を、円の中心座標のうちx座標はそのタイトルの「消化率」を、同じくy座標は「入荷冊数」(:入)を示します。
 発売日初日早朝の時点では「販売冊数=0すなわち消化率=0」で、「一般的に入荷冊数が多い店舗数ほど少なくなる」ことから以下のようなグラフが生成されます。
発売初日
:発売初日(本描画時は円上に店舗数/入荷冊数/平均売上冊数を示す数字を表示しています)

 発売日から数日が経つうち、そのタイトルの市中在庫がどのように変動したか、すなわちどのように実売が分布しているかを描画します。
発売n日目
:発売n日目 (消化率が20%未満で低迷している店舗が多い。また展開店に恵まれていないように見える)

[売り伸ばしを考える]

セグメント分け
 このグラフ上で示すことのできる売り伸ばしの方向性が概ね4つあります。その説明のためにグラフのエリアを簡単に以下の4つに切り分けました。

  1. 入荷冊数が多く消化率も高い「成功店」
  2. 追加注文を含む入荷冊数(在庫冊数)が多いが実売はこれからの「現行仕掛け店」
  3. 消化率は高いが消化して終わってしまった「伸びしろ」
  4. そのタイトルの初動に大きな期待をしていない「受動店」

[4つの方向性]

売り伸ばしを構成するのはふたつの要素、つまり「入荷冊数の増大(左上方向への動き)」と、「消化率の向上(右方向への動き)」です。これらをグラフ上で表現すると以下のようになります。

  1. 「成功店」のさらなるプッシュ(矢印.1)
  2. 「現行仕掛け店」の販売サポート(矢印.2)
  3. 「伸びしろ」の追加注文取り(矢印.3)
  4. 「受動店」も無視できない状況作り(矢印.4/4')

方向性の矢印つき
:方向性の矢印つき

(1)「成功店」のさらなるプッシュ(矢印.1)

 売れているなら追加を取りたくなるのが書店員の常です。いわゆる在庫切れが仇となります。取次の新刊3ヶ月ルールを勘案しつつ薄く広く配本するか、手元在庫を潤沢にするか。

(2)「現行仕掛け店」のサポート(矢印.2)

 発売前の書店員告知どでこの「現行仕掛け店」に位置する店舗をいかに増やせるか。そしてその後「成功店」に引き上げることが出来るか。
 「成功店」から成功の理由や要素を抽出して「現行仕掛け店」へ。これから十年の鍵になる部分だと思われます。

(3)「伸びしろ」の追加注文(矢印.3)

 「1入1売」から「5入5売」などのタイトルがはたして目ありのものなのか、それとも偶然なのか。書店員も判断に迷い、あるいは判断せず流してしまっているところです。特に1巻目のタイトルで頭打ちの状況を作りがちなゾーンだと体感しています。
 これを「現行仕掛け店」へ移動させるための情報チャネル、またその誘い文句とは。
 「売れてます」ではなく、「なぜ、どのようにしたら売れるのか」。「成功店」に知恵と工夫があるのではないかと思います。

(4)「受動店」も無視できない状況(矢印.4)

 年に数冊クラスの爆発的な売れ行き。再現性が高い施策となるかは微妙なところです。

 対象タイトルが今どのような売れ方をしているか、それに基づく次の一手をどの層に向けて投げるか、その内容はどのようなものにするか、その参考となれば幸いです。

[留意点]

  1. 該当データにアクセスすることを前提とする、ごく一部の方々向けのものとなります。
  2. 「入荷数5冊」が軸になっているのは作成者の勘です。