まんきき33号『つれづれ花譚』(長田佳奈先生)

少し昔の日本を舞台に、日々を暮らす人びとの生活の一瞬に、「花」を添えて描く…。 『こうふく画報』の長田佳奈が贈るノスタルジック・オムニバスコミック!

生活の景色に根ざした一つ一つのシーンの流麗さ、そして1冊の単行本を通じて浮かび上がる登場人物たちと町の暮らしの様子。
ずっと棚に置きたくなる素晴らしい作品を生み出す長田佳奈先生に、コミタン!チームでインタビューをさせていただきました。

――― 約1年半ぶりの単行本発売、楽しみにしていました。生活のワンシーンを切り取る題材として、前作『こうふく画報』では食が、今作『つれづれ花譚』では花が作品の中心になっています。それぞれどのようにこの題材を選ばれたのでしょうか
『こうふく画報』は担当さんから「食」をテーマにした漫画を描いてほしいという要望があったので、それを受けました。『つれづれ花譚』は打ち合わせの際に「食」の次は「花」かなという流れで選んでます。どちらも生活の中に在るものなので、自然に扱えるのが共通点でしょうか。
――― 「食」というテーマ設定にきっかけや心当たりはあったのでしょうか
人気だからでしょうか。流行りもあったと思います。あまり食べ物に焦点をあてた話は描けないとお話したんですが、それでも良いということでしたので好きなようにやらせて頂きました。
――― 「花」という題材で一番最初に思いついたイメージやシーンは
第2話の見開きのシーンでしょうか。歴史ある生花店さんにお話を伺う機会を頂いたのですが、戦前に花の仕入れや運搬で自転車を使っていた頃、クリスマスに使うモミの木を座席から荷台に横に渡して置いて、その木の上にまたがって運転したというエピソードを聞いて、絵になりそうで面白かったので。
――― 登場人物たちの顔つきや髪型・瞳で表現される個性が非常に豊かです。これだけの描き分けに際して、キャラクター設定はどのように行われているのでしょうか
そう感じていただけて嬉しいです。キャラクター設定は、まず簡単な「◯◯な人」といったところから始まって生育歴と趣味嗜好を考えます。どちらも本編には出さないところですが、その人をその人たらしめる大事な要素だと思うので大体でも必ず決めておきます。そこから人物を想像してデザインしますが、生活水準の差が服装などに顕著に現れる時代でしたのでその辺りは少し注意しました。
――― 各話のつながりから、登場人物たちの住むご町内のような生活の半径を感じられる構成が美しいです。まるで鳥の目を持つかのような構成に秘訣はあるのでしょうか
各話のつながりは登場人物や店などで作っていましたが、そこはほとんど思いつきでやっていました。なので秘訣はわかりませんが、すれ違う人にもその人の物語がある、というスタンスで話を描きたいといつも思ってます。所謂「モブ」を極力描かずにいたいです。通行人を描くときにも、この人は今こういう理由でここを歩いている、くらいの設定はつけておきたくて。同じ舞台で視点になる人物が変わる話の面白さは、吉田秋生先生の『櫻の園』(白泉社)『ラヴァーズ・キス』(小学館)で感じて今でもその構成力に憧れてます。まさに鳥の目を持つかのような舞台設定です。
――― どちらの作品においても、道具や風習を丁寧に描かれていれます。時代設定はどのようにお決めになったのでしょうか
単純に「好き」が理由です。大正~昭和初期の生活様式や道具を描きたいと思ったのでそのあたりの時代に決めました。
――― この時代を好きになったきっかけはあったのでしょうか。作中での部屋や建物の描写の細やかさに観察眼を感じます。
気がついたら好きだったので、きっかけはわかりません。建物の描画はまだまだ見たままをやっと描いてる感じなので、そこに住んでいる人の人柄や生活が分かる、くらいの背景を将来は描けるようになりたいです。
――― 先生の暮らしにもこういった道具たちがありますか
机や卓上本棚は古家具です。照明や食器、調理器具など日用品もいくつか。可能なら内装から何まで全て揃えたいですが利便性を考えるとなかなか無理ですね。
――― 近々欲しいと考えている、あるいは欲しいけれども長らく保留している古道具はありますか
プリンターを置くサイドテーブルとかあったら欲しいです。長らく保留してるのは、モールガラスの食器棚。憧れてますが、部屋の備え付けの収納で間に合ってるので購入に踏み切れません。
――― 当時の道具や生活様式、特に職業のことなどはどのように調べておられるのでしょうか。アレンジを入れた部分はありますか
主に資料館や書籍です。あとは詳しい方から話を伺う機会もありました。アレンジというか、話し方からちょっとした仕草まで現在とは異なる点が多いので、もろもろ現代風にはなっていると思います。時代考証を突き詰めてしまうと自分も大変ですし、取っつき難くなってしまうので。その点では、NHKの朝ドラの匙加減はとても参考になりました。ただその中でも、時代的な嘘はできるだけ無いよう気をつけてます。
――― 作中の雰囲気を感じるのに特にオススメの資料館やスポットはありますか
モデルにした建物が多いので、江戸東京たてもの園や明治村でしょうか。あとはどこの地域にも文化財として保存されている建築があると思うので、興味があれば調べて行ってみると面白いと思います。
――― 1話8ページほどと短編に分類される各話ですが、話の尺ということで意識されることはありますか
余計なコマや流れを削る意識は毎回ありました。これはすごく漫画の基本の勉強になったと思います。あと短編は短い尺だからこその良さもあるので、その良さを少しでも出せたら良いと思ってました。昔あった、プロゴルファーの小話をもとにしたCMが印象的で、今でも覚えてるんですけど、「病気の子供はいないんだ」ってフレーズで、見たことある人はだいたいアア~って言うんですよね。うまく言えませんけど、短編漫画ではあの感じを目指してます。
――― 単行本化に向けて原稿を加筆修正されたと伺いましたが、主にどういったところに手を加えますか
時間が経つと自分の絵でも少し客観視できるので、違和感のある部分を修正します。人物のパーツの大きさや位置などが多いです。加筆は時間の関係で省いた背景、服や小物の柄などの描き込み、トーンの貼り付けなどです。今回の『つれづれ花譚』では1話の女の子の服がもとはワンピースでしたが、やっぱり着物が良いと思って単行本ではそっくり着せ替えました。電子版の1話ずつ販売しているものは雑誌掲載時のままで読めますので、ご興味があればそちらをぜひ。
――― 座敷わらしとコミカルな同居生活を描いた『2KZ』では4コマ作品に取り組まれていました。画面作りにおいて、4コマ作品とそうでない作品とで意識が異なるのはどのようなポイントですか
視線誘導でしょうか。4コマ漫画は縦にコマが2列、ストーリー漫画では自由にコマが割れますのでこの違いから意識が変わってると思います。あと絵柄も4コマではなるべく線を少なくするようにしました。
――― 『2KZ』と『こうふく画報』の間で作画に変化をつけられたとのことですが、使われている道具にも変化はありましたか
特に変わりませんが、『こうふく画報』ではボールペンや筆ペンをよく使うようになりました。なんとなくつけペンで描かないといけない、と思ってそれ以外の文房具はあまり試してきませんでしたが、描きやすければ何でもいいという気持ちが、だんだん勝っていってたので。
――― 今作から特に先生ご自身が気に入っているページやコマがありましたら教えてください。
第3話の4ページ目は小物がいろいろ描けて楽しかったです。この話からデジタルで作画する部分が多くなってますが、今までアナログでは描けなかったものも、パソコンの力を借りて描けるようになりました。

――― 作品を通じて「時間の流れ」に対して独特な空気感を受け取っております。先生は時間の経過や、人間と道具の時間の尺の違いなど、どういったことを感じられているのでしょうか
漫画に間をとりがちなので、読んでいて「時間の流れ」はゆっくりに感じられるかもしれません。会話劇でも、何か言われたら1コマ置いてから反応、のような。自分が丁度いい、と思う会話のテンポがそれくらいなので、空気作りを意識してるというよりは、ただの癖です。人間と道具の時間の尺の違いというと、なんだか難しい話で見当違いな回答かもしれませんが、私が現在、資料館や博物館で見る昔の道具は、かつてどこかで生活していた人が使っていたものなんだと思うと、道具を通じてその人と何か少し繋がったような、そんな不思議な気持ちになります。
――― キャラクターの本編には出ない設定について成る程と思いました。少しだけ具体的にお尋ねしてもよいでしょうか。(もしお伺いすることができれば、個人的に好きな『つれづれ花譚』6話の伊達男・麗二と澄さんのことを知りたいです)
麗二は名前に「二」のつく通り、次男です。兄をお手本に、時には盾にして育ってきたので、自由奔放に振舞いながらも、それを許してもらえる要領の良さや愛嬌を、自然に身につけてきた人です。自分が人目を引く容姿なのも分かっていて、それを隠さないところが逆に嫌味の無い感じになればいいと考えてましたので、憎めないキャラクターと思って頂けて嬉しいです。女性経験は多そうですが、きっと片思いしたことはないので「本気の子」には奥手な面があると思います。

cafe寒苦鳥は洋食とコーヒーと、夜にはお酒も出すカフェーです。マダムが仕事をしたい女性を雇って経営しています。中には身寄りが無く、生活ともども面倒をみているような子もいますが、澄がそれにあたります。澄はかつて製糸工場で働いていましたが、過酷な労働で体を壊してしまい、マダムに引き取られ療養の後、cafe寒苦鳥で働いています。麗二とは対照的に自分に自信がなく、褒められることが苦手で、女性扱いされることにも居心地悪さを感じている人です。

――― 先生の本棚にある、思い出のマンガや小説のことをちょっとだけ教えてください
はじめて買った漫画本は衛藤ヒロユキ先生の『魔法陣グルグル』(スクウェア・エニックス) の4巻です。4巻から買ってしまうあたりすごく子どもらしいですね。
――― ご自身のことをどんな子供だったと振り返りますか
落ち着きがなく、怪我の絶えない子どもでした。それと年齢のわりに考え方が幼くて、甘ったれてたと思います。今もそんな変わってないので、振り返っていて心苦しいです。
――― 先生がマンガを描きはじめたのはいつ頃からだったのでしょうか
絵は小さいころから描いてましたが、自分の漫画をちゃんと描いたのは二十歳くらいのときでしょうか。
――― 「漫画をちゃんと描く」ことへのきっかけはどんなものだったのでしょうか
就職する上で、趣味の絵とどう関わっていくか悩んでいた時期だったので、仕事にできる可能性もあるのか試してみたかったんだと思います。
――― 先生のマンガ作りに影響が大きかったと感じる作品があれば教えてください
たくさんありますが、長編と短編で1作品ずつ挙げます。長編では柳沼行先生の『ふたつのスピカ』(メディアファクトリー) です。登場人物の心が動く場面で、セリフもモノローグも無い演出がけっこう多いんですが、その言葉の無い感情表現がとても好きなんです。描かれた人間の感情を想像して、反芻して、解釈するという面白さにも気づかされて、私もこんな風に漫画を描けたらなと思いました。もちろん今でも思ってます。短編では萩尾望都先生の『半神』(小学館)。たった16ページでここまで愛について深く刺さる物語があるんだなと衝撃的でした。
――― いま続きの巻を楽しみにしているマンガはありますか
水沢悦子先生の『ヤコとポコ』(秋田書店) です。優しくされると泣きそうになってしまうことってあると思うんですけど、読んでいてそんな気持ちになります。ポコちゃん、うちにも居てほしいです。
――― マンガに限らず、これまでにハマってきたもの、いまハマっているものがあったら教えてください
文化財建造物や資料館を巡ったり、動物園、水族館に行ったりしてました。映画も好きです。今ハマってるのは炊飯器で作ったシチュー。おいしくて簡単なのでそればかり食べてます。
――― 次回作の題材として、現時点でぼんやりと興味をお持ちのものはありますか
いろいろと興味は尽きませんが、題材となると、描く機会があればまた改めて…といった具合です。
――― 最後になりますが、これから『つれづれ花譚』に触れる読者の方に一言お願いいたします
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。もし気に入ってくださったら、その方に宛てたお話だと思ってます。
長田佳奈先生、ありがとうございました!
先生のイラスト表紙が目印のまんきき33号の頒布店はこちらで案内しています

まんきき32号『好きな子がめがねを忘れた』(藤近小梅先生)

隣の席の女の子がめがねを忘れた。
フォローしてあげたい小村くんだけど、
見ようと一生懸命な彼女の距離が近すぎて── 。

悶えるッ・・・!!
天然っぽくも見える振る舞いは彼女の素なのか、それともめがねを忘れての油断なのか。
ず~っと見ていたくなるような二人を描いてくれた藤近小梅先生に、コミタン!チームでインタビューをさせていただきました。

――― 単行本の発売おめでとうございます!二人の距離感を縮める今作のキーアイテム「めがね」ですが、先生もめがねユーザーなのでしょうか。
ありがとうございます!実を言うと私はめがねユーザーではありません…担当さんがめがねユーザーなのでネタ出しの際にアイデアをもらったりして助けられています。
――― めがねを忘れた三重さんがぐっと距離を詰めてくるので、そのたびにドキッとしてしまう小村くん。二人のやり取りにニヤニヤが止まりません。この二人が生まれたのはどんな瞬間だったのでしょうか。
なんかラブコメ的なものが描きたい…とネタを考えていて、特にきっかけはなく(めがねを忘れて…顔を近づけてくる女子…)と浮かんできた感じですが、改めてルーツを辿るとすれば、その頃観ていた『らき☆すた』(美水かがみ/KADOKAWA)の高良みゆきさんの影響だったかもな…と思います。
――― 先生が女の子・男の子の仕草でそれぞれドキッとするのはどんなときですか。
女の子は、髪の毛を気にしたり、スカートの裾を気にしたり、身だしなみへの意識が見える仕草が好きです。ふとした瞬間に気にするのがよいです。男の子は、ちょっとガサツになる瞬間が好きです。どかっと椅子に座ったり、一瞬言葉遣いが悪くなったり。普段からガサツな男の子も好きです。
――― 小村くんから見ても、読者から見ても謎多き三重さんですが、視力が悪くなってしまった理由はあるのでしょうか。
三重さんも子供の頃テレビの子供番組とか大好きだったと思うんですけど、大好きすぎてついつい一生懸命見ちゃったんじゃないかなと思います。テレビに張り付くくらい。視力の遺伝もあると思います。かわいいものが好きな割と普通の女の子ですが、生き物図鑑とかを見るのが好きそうです。一生懸命見ます。気持ち悪めの生き物が出てくると眼鏡をかけてても細目で見ます。
――― 三重さんの裸眼視力はどのくらい・・・?
0.01くらい…?
――― ヒロインの名前の三重さんの由来が気になります(三重県の書店員より)
”みえ”る・”みえ”ないの話だからです。「めがねがなくて視界が三重(さんじゅう)になるからかなって思ってた」と言われて なるほどそういうのもあったか…と。
――― 三重さんがかけるめがねのチョイスには、先生または三重さんの好みが反映されたのでしょうか。しっかりフレーム好きです。
色んなめがねをかけさせたいとは思っているのですが、ついついしっかりフレームのものばかりかけさせてしまいます。私がゴツメガネが好きだからだと思うので、私の好みが反映されてます。三重さん的にも、しっかりフレームの方が目立つから忘れにくいかも…と思っているのかもしれません。

――― 小村くんも、三重さんと繋いだ手を洗わないこと、さらにその先を考えるなど、なかなかラブい行動を取っていて可愛い存在です。先生から見るとどんな男の子なのでしょうか。
可愛いと思っていただけて嬉しいです。小村くんは内気で、自己評価の低いところもありますが、穏やかで誠実な優しい男の子だと思います。そしてもちろん私自身かわいいと思っています。三重さんへの愛が底知れない感じがして、そこはちょっと怖いなと思います。
――― 小村くんの今のところの恋愛観はどこから得たものなのでしょうか。ムッツリというかなんというか、なかなかエッジが利いた愛の深さ・・・。
どこからでしょう…多分もともとそういう形の愛を持ってたんでしょうか…。これまでは特に恋愛とかしてこなかったイメージがあります。出てくる機会がなかった間、鋭角に研がれ続けてきた愛が三重さんにうっかり惚れたことによって突き出してきたんでしょうか…。
――― 陰影のコントラストや吹き出しでのセリフの流れなど、ハッとする画面づくりを楽しく読んでいます。何か意識をしていることはありますか。
今作は特にキャラの可愛さを楽しんでもらう作品だと思うので、コマ割りの際にキャラの表情が目立つ配置になるように意識しています。 陰影に関しては、その場所の光と影が感じられる画面が好きなので、そのあたり意識して仕上げるようにしています。
――― 先生と担当編集さんが、特に気に入っているシーン・コマがありましたら教えてください。
【藤近】Twitter版3話目(単行本第14話)の、「三重さんが、実は見えている」シーンかなと思います。もともとあれがこの漫画のオチのつもりだったのですが、それ以降もこんなに描き続けられていることに内心驚いています。
【担当】自分も同じシーンでしょうか。素直なラブコメに見えて、こういった変化球があるのも、本作の魅力だと思っています。
――― 担当編集さんとの打合せはどんな感じなのでしょうか。
主に電話で話してます。次どうしよっかー…という感じで電話をはじめると、担当さんが次次アイデアを出してきて悔しいので、私が先にネームを描いてきてから打ち合わせするみたいな時もあります。それはそれで直しが入りやすいので悔しくなります。でも担当さんがとっても褒め上手なので、最終的には嬉しくなります。
――― Twitterで公開されていた作品が商業連載化となるとき、媒体の違いなどで意識された部分はあるのでしょうか。
ツイッターの方では、「1つのネタを4Pでできる限り簡潔にやる」を意識して描いていました。雑誌連載の方も、1つのネタを簡潔に…の方向で行こうとしていたのですが、結局もう少しストーリーテイストのものを意識するようにしました。せっかく雑誌でページ数も多めに描けるんだし、ということで…。

――― 今作はTwitterに投稿した人気が雑誌連載にという経緯がありました。SNSの存在が現在のマンガ家さんにもたらしているものも様々あると思いますが、先生の活動においてはどのように感じられますか。
SNSの存在は私にとっても大きなものになっていると思います。私は、最初の連載が終わってからしばらく「(宣伝する事とかないから)ツイッターでやることが何もないなあ…」くらいに思っていたのですが、ツイッターは宣伝ができるだけでなく、そもそもの発信源になり得るということに後になって気づきました。それでも最初は(まだ連載も獲れてないのにツイッターに漫画をあげてる場合か…?)と謎の引け目を感じていたのですが、今となってはむしろツイッターでの様々なアピールは欠かせないものだと思うようになりました。とは言えもちろん時代によるところが大きいとは思うので、ツイッターがある今のうちに出来る限り私を知ってもらおうくらいのスタンスでいます。
――― 先生がマンガを描きはじめたのはいつ頃からだったのでしょうか
物心ついた頃からずっと描いてた気がします。あまり描かなくなった時期もありましたが。ありがたいことに高校在学中にデビューさせていただけて(※)、今まで漫画を描かせていただけてることを嬉しく思います。
※「週刊少年チャンピオン」(秋田書店) 2012年No.47 『花井結菜の愛のかたち』でデビュー
――― 先生のマンガ作りに影響が大きかったと感じる作品があれば教えてください。
ラブコメなら断然『らんま1/2』(高橋留美子/小学館)です。あれはラブコメの教科書だと思ってます。特に主人公の乱馬とあかねちゃんのお互いに素直になれないところが大好きです。小村くんと三重さんはド素直なコンビですが。
――― 先生が思うラブコメの「お約束」的シーンは。
お約束…というとお風呂でバッタリとか…?となりますが今作では描かないであろう上に絶妙に古い気がします。
――― 先生のフェチなシチュエーションを教えてください
私自身、女の子が男の子を惑わせるシチュが好きで描いてます。いつも女の子に惑わされてる男子が、逆に女の子の方を惑わせる瞬間 みたいなのも好きです。あと、ラブコメにおける至高のシチュはキャラのやきもちだと思ってます。
――― いま続きの巻を楽しみにしているマンガはありますか。
少年漫画やファンタジー漫画が特に好きで、『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)『不滅のあなたへ』(大今良時/講談社)『血界戦線』(内藤泰弘/集英社)は毎巻楽しみにしています。まだ既刊が少ないものだと、『北北西に曇と往け』(入江亜季/KADOKAWA)も楽しみにしてます。
――― ファンタジーが好きになった原体験の作品はあったのでしょうか。
高校生の頃に『マギ』(大高忍/小学館)を読んで、そこからファンタジーへの興味が増していった気がします。
――― 子供の頃はどんな遊びをしていたのでしょうか。
結構色んなことをして遊んでいましたが、ひとつ挙げるなら兄姉たちとごっこ遊びとかしてましたね。『もののけ姫』(監督:宮崎駿)でサンがアシタカに干し肉?を食べさせるシーンの真似をしたくて、食パンにコーヒー牛乳をひたしたものを干し肉に見立てて「噛めッ!!」とか言ってました。普通によく噛めました。初めて読んだマンガは、『犬夜叉』(高橋留美子/小学館)『らんま1/2』(同)だった気がします。多分…。
――― 『北北西に曇と往け』、先生は同人誌で北欧を舞台にされたマンガを描かれていますね。北欧に感じている魅力ポイントを教えてください!
同人誌まで知ってくださっているとは…ありがとうございます。北欧、特にアイスランドが大好きです。一面の苔の大地、黒い砂浜に灰色の空、火山に覆いかぶさる氷河など、荒涼としていて少し翳りのあるような空気感を持つ大自然に魅力を感じています。エルフやトロールなどの妖精の伝説が根強いのも魅力的です。妖精について学ぶ妖精学校なんてのもあるそうですよ。…とは言えまだ足を踏み入れたことはないので、生きてるうちに行きたいと思っています。物価が激高なのだけ怖い。
――― 先生の作画環境を教えてください。
今はオールデジタルです。液タブでWacom Cintiq Pro 16を使ってます。去年の始めくらいまでは、まだアナログで作画をしていたのですが(仕上げはデジタル)ふと思い立ってペンタブにして、それから間もなく液タブにして…と言う感じで、約一年の間でだいぶ変わりました。めちゃくちゃ絵の修正をする人間なので、修正液まみれにならなくなったのがありがたいです。書き味が恋しくなるのでたまに鉛筆でも描いてます。
――― マンガに限らず、これまでにハマってきたもの、今ハマっているものがあったら教えてください!
最近はゲーム実況やVtuberにハマっています。「ナポリの男たち」「にじさんじ」が特に好きで、作業中などに聴いています。とても楽しいので是非一度聴いてみてほしいです。基本的に多趣味なので、常にいろんなものにハマっています。
――― 最後になりますがこれから『好きな子がめがねを忘れた』に触れる読者の方に一言お願いいたします。
まだまだ拙いところの多い漫画ですが、少しでも笑っていただけたり、ときめいていただけたりすると嬉しいです。小村くんと三重さんをどうぞよろしくお願いします。
藤近小梅先生、ありがとうございました!
先生の描き下ろしイラスト表紙が目印のまんきき32号(小冊子版)の頒布店はこちらでご案内しています
一緒に活動してくれる書店さんも募集中です