「マンガは描き終わったら誰かに読んで欲しいし、感想を聞きたいな、と素直に思えるものでした。」まんきき42号『ホテル・インヒューマンズ』田島青先生インタビュー

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最高のホテルには条件がある。
「極上の食事」、「至高の癒やし」、「魅惑の娯楽」…
そして、“最新の武器手配”、“安心の身元詐称”、“完璧な死体処理”――!?

そのホテルの…「お客様は殺し屋様」。
もてなすのは決して『NOと告げない』コンシェルジュ。

死の境界線で語られる、インヒューマン(=人非ざるもの)・殺し屋たちの望みとは!?
いま鮮烈のキリング・ホテル・ドラマの幕が上がる―――!

殺し屋にも引けを取らない入念な準備によるストーリー構成
コンシェルジュにも遜色しない読者へのおもてなし
先生のマンガへの愛を御覧じませ

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――― 初連載&初単行本おめでとうございます!殺し屋たちの集まるホテルでお客様をお迎えするコンシェルジュという魅力的な設定の作品です。今作の着想のきっかけはどんなところだったのでしょうか。
ありがとうございます!この作品を始めてからたくさんの声をいただき感謝しています。着想のきっかけは担当さんとの2年半くらい前の打ち合わせです。いくつか持っていった作品案にピンと来ない雰囲気になっていたとき、ブースの窓から隣のビルの明かりが見えました。ふと地元のホテルが頭に浮かんで「ホテルのことも描きたかったな。メモだけ書いたけど作品案に入れ忘れたな」と思い出しました。人生でほとんどホテルに縁がなくその分「豪華なきらびやかな遠い世界」として憧れのようなものが私の中にあったんです。それで担当さんに「ホテルのことに興味があります」と伝えると、担当さんがしばらく間を置いて「ホテルと殺し屋はどうですか?」と反応をくれたんです。「殺し屋」の方のアイデアは私には無かったので驚いたのですが『LEON』が元々好きでしたし、直感的に面白そうだな思い具体的に考えてみることになりました。その時のことを担当さんに聞いてみると、私が昔に構想していた「平安時代に疫病が流行り、死が蔓延している世界」を膨らませたお話があるのですが、その時に「死のイメージ」について話していたことが印象的だったそうです。そこから得た「静かな死」と「華やかな生=ホテル」という部分を繋いだ提案だったと。ここから主人公が殺し屋だったりコンシェルジュだったりと色々なパターンを深掘りし、次の打ち合わせの時に「インヒューマンズ」という言葉を持っていった記憶があります。
――― 作品タイトルを際立たせる「インヒューマンズ」、作中ではここに”・”が加わることで両面的な意味合いを持っていてすごくハマっているワードだと感じました。
いまパソコンの履歴を見てみると、担当さんとの始めの打ち合わせのあとに『ホテル・アサシン・トウキョウへようこそ(仮)』というメモが残っていますね。たしか、ここからアサシンなどの直球のワードではなくて、何か違うもの、新しいものがないかな、と調べていった形です。「殺し屋」から連想されるワードを繋いでいくうちに、「非人間的な」→「インヒューマンズ」に辿り着いて、次の打ち合わせで『インヒューマンズ・ホテル』というタイトル案を持っていったら、担当さんの反応が良かったのを覚えています。最終的に語呂の良さなどから、順番をひっくり返した、いまのタイトルに落ちつきました。タイトルから派生してつけた作中のホテル名ではあるのですが、「ホテル・イン・ヒューマンズ」と”・”を1つ加えています。英語的には変な言いまわしになってしまうのは分かっているのですが、「人間」という言葉をどこかで強調できればと思って、と。まあ、でもダジャレ的な発想に近いかもしれませんね。
――― 連載となってからはどんな打ち合わせをされているのでしょうか。
ケースバイケースではありますが「どんな殺し屋の話にしようか?」が基本のスタートラインな気がします。私自身が色々な人を描きたいと考えていて、年齢・セクシャリティ・生い立ち……などを打ち合わせで掘っていって、今回描く人のドラマを見つけていく感じです。そこが根っこにあるので、構成や演出、エモーショナルにするためのアイテムだったりなどは、極論を言ってしまえば後から足し引き出来るものと考えているのかもしれません。その分だけトライ&エラーを最後まで繰り返して、なんとか読者までドラマが届くものに仕上げたいと四苦八苦しています。
――― 先生が「殺し屋」や「ホテル」と聞いてイメージする作品は何ですか。
「殺し屋」と聞いてイメージするのは前述の通り映画の『LEON』(監督:リュック・ベッソン) です。哀しい終わりだけど希望があるというか。「ホテル」と聞いてイメージするのは映画の『グランド・ホテル』(監督:エドマンド・グールディング) です。原初の群像劇として「グランド・ホテル方式」という言葉になるくらいの作品です。超高級ホテルで様々な背景をもつ宿泊客と、その人たちが繋がっていく様相が好きというか、とても興味があります。大学時代に一度卒業論文のモチーフにしようかと考えていたことを思い出しました。
――― 番外編である「オフ・ザ・ヒューマンズ」からもキャラクター作りに対する先生の熱意を感じています。登場するキャラクターたちにはどのぐらい設定を準備されているのでしょうか。
この作品は今の形になるまでに何回か仕切り直しをしており、特に主役の2人はその試行錯誤の中で組み上がっていったように思います。作画のタイミングで「あ、こういう人なのかな?」と気付くことも多いです。表情や感情的な部分は描いて初めてわかるというか、描くことで自分の中で同時進行的にキャラか出来てくる感覚が近いかもしれません。
――― 夫婦愛であったり子守唄の存在であったり、一話一話に配された題材がドラマを生んでいて物語に惹き込まれます。お話の構成はどのように考えておられますか。
まずこの作品をつくるにあたって「殺し屋」のことを考えました。いまの日本の年間行方不明者数だったり、歴史に登場する殺し屋だったり、ナチスに対するレジスタンスに実在した殺し屋の話であったり。そうした中で「殺し屋が普通にまぎれて存在する」方が、自分の中でのリアリティとして自然だと感じるようになりました。そこを下支えとして、たとえば夫婦を描く時は「完璧主義の殺し屋はどんな生活なんだろう?配偶者はそのことを知っている?それとも知らない??」とドラマ部分をふくらませています。そこに同時並行してこの作品ならではのホテルサービスとの掛け算について「子守唄」「ダイイング・サービス」「花言葉」など各エピソードを盛り上げるポイント作りを意識しながら頭を悩ませています。
――― 個人的にすごく刺さったのがrequest.1での「19個の子守歌」という設定でした。民俗とお話のスイッチとが上手く繋がれていて驚いたのですが、この回の構成はどのように練られたのでしょうか。
一番始めは「殺し屋と小さな男の子が出会い、殺し屋がその子からピアノを習う話」を考えていました。しかし打ち合わせの中で1話目としての難しさを感じ、もう少し兄弟姉妹のような親しい関係性を描く方がいいなと考えて「子守唄」のアイデアを出したと記憶しています。また1話目は「沙羅のアクションの派手さ」に対する「生朗の頭脳プレイ、情報収集・操作」のバランスをどう見せていくかも悩みどころでした。謎解きシーンとしての見せ場が映えるように、子守唄のアイデアを膨らませながら「厳しい環境の生い立ち」や「19個の制限=その土地柄での希望の表れ」などの設定、そしてそれらを伏線に落とし込む……などの作り込みに苦心しました。こう書くと色々と計算立てて作られたように感じるかもしれませんが、行き詰まっては担当さんと打ち合わせを繰り返して試行錯誤の連続で毎話作っています。特に構成については、そのエピソードが最大限にエモーショナルになるように。それこそ作画を仕上げた後の最後の最後に構成を組み替えるときもあります。
――― 構成の練り込みにすごい力の入れようを感じます。日の目を見なかったページもたくさんありそうな・・・。連載作品がある生活には慣れられましたか。
日の目を見なかったページはたくさんありますね。使わなかったところも別のタイミングで物語のヒントになったり、キャラの感情を描く下地になったりと後で活きてくることがあって無駄ではないものと考えています。連載生活に慣れたかというと分かりません。打ち合わせ・ネーム・作画と日々やることが常に目の前にあって毎日を必死に生きている感じです。回を追うごとにバタバタしています…。 連載前は外でネームを描くこともありましたが、コロナウイルスの流行からなかなかそうもいかなくなり今はネームも作画も専ら自室でやっています。気分転換に部屋の窓を空けながらすることが多いですね。元々夜型なんですが作業が佳境になる深夜から明け方が一番集中しているかもしれません。
――― 沙羅と生朗はこのホテルで何代目のコンシェルジュにあたるのかが気になっています。物語の大きな展開については現時点である程度決めておられるのでしょうか。
何代目なんでしょうね?ホテル自体はそれなりの年月を経た建物として考えていますが、自分でもはっきり決めてはいない部分も多いです。物語の大きな展開も考えていることはあるのですがそれを不変のものとはしておらず、描いていくうちに変わったり見えてきたりするだろうと思っています。描いていくうちに2人の解像度が自分の中であがっていき、それによって物語も揺れていくのかなと思います。
――― はじめての連載作品として意識されていることはありますか。
読んだときの感情はそれぞれの心の中で生じるものだと考えています。もちろん自分が狙って描いている感情というものはあるのですが、それはあくまで自分のもので読者とイコールになるとは限らないと思っています。だからこそ話の流れや状況が読者に極力伝わる形になるようにギリギリまでページ構成を組み直しています。
――― 殺し屋にとって重要な武器ですがこだわっている部分があれば教えてください。
各キャラのイメージが先にあります。実用的なものを好むタイプか、装飾があるものが好きか、など。たとえば、1話目のシャオに関しては殺し屋になったきっかけの日に手にした拳銃をずっと使っています。「これ一つで生き抜いてやる」という彼の意志のようなものを感じていて。また沙羅の髪飾り式のナイフは連載準備中からこの形で行こうと思っていました。「沙羅は踊るように、舞うように闘って欲しい」という担当さんからの声もあり、体全体を使ったアクションに合うように、片手でおさまるなるべく小さい武器としてセレクトしました。あと、髪飾りをナイフにするときに、バサーっと広がる髪の演出も大事にしています。ナイフと髪はもうセットですね。そうした部分を含めて「沙羅の全体のシルエットが様になる」ことを意識しています。そんなイメージを元に設定や資料などを私が用意し、武器の作画はアシスタントさんにお願いしています。
――― カラーイラストの鮮やかな色彩やグラデーションを楽しんでいます。こういった色使いには何か原体験みたいなものがあるのでしょうか。
今のところこれしかできないのが正直なところです。この作品を描くまで漫画のカラー絵を描いたことがほとんどありませんでした。学生時代は水彩画や日本画を描いていたのですが、それをデジタルでやってみたらこうなったという形です。作画に追われていくうちにデジタルでのカラー塗りなどを勉強する時間もなくなり、気付けばもうカラーを描かないといけない時が来まして……。唯一知っている方法で乗り切った感じです。
――― 水彩画や日本画を経てということでしたが、そこでの経験とマンガとの間に感じる共通点や、逆にマンガならではと思う点はありますか。
油絵などの西洋の「面で絵をとらえる」絵画に対して、日本画の墨で輪郭線を引く「線で絵をとらえる」部分がマンガと共通しているかもしれません。高校一年生のときはじめての美術の授業で菊の花のスケッチを描いたのですが、私の絵を見た先生に「あなたは線の人ね」と言われたことを思い出しました。その一言だけだったので先生の真意は分からないのですが、その意味に適う人にこの先なれたらいいなと少し思います。
あと私の中で絵画は人に見せなくて満足する、自分で描き終わって満足する、どこか自己完結するものだったのに対して、マンガは描き終わったら誰かに読んで欲しいし、感想を聞きたいな、と素直に思えるものでした。そこが、自分の中で大きく違う部分かもしれません。
――― 先生がマンガ制作で使っている道具を教えてください。
アナログ作画はGペン、ミリペンを使って、紙はコピー用紙を使っています。インクは墨汁です。スキャンで取り込んで仕上げはデジタル(クリスタ) です。大コマやしっかり描きたいところはアナログ作画、時間的な制約の中で、小さいコマはデジタル作画にすることもあります。
――― 先生が作品作りに影響を受けたと感じるマンガはありますか。
BLACK LAGOON』(広江礼威/小学館/サンデーGX)
元々大好きなのですが、今回の作品を描くにおいて改めて意識的に読んでいます。主人公のロックが普通の社会から巻き込まれる形で裏社会にいき、自分なりの正義や悪を定めていく部分は生郎を描く上での参考にしています。
シュトヘル』(伊藤悠/小学館/月刊!スピリッツ)
高校生のときに『皇国の守護者』(原作:佐藤大輔 作画:伊藤悠/集英社/ウルトラジャンプ) に出会い、とにかく絵のかっこよさに痺れました。その後に読んだ『シュトヘル』で描かれた「登場人物たちの生き様」に憧れました。なによりキャラクターに対してのシビアさと愛情が共存していて。ただのファンですね。
ヒカルの碁』(原作:ほったゆみ・漫画:小畑健/集英社/週刊少年ジャンプ) と『魔神探偵脳噛ネウロ』(松井優征/集英社/週刊少年ジャンプ)
バディの形として、という意味だとこの2作品でしょうか。非凡なキャラクターの導きによって一見平凡なキャラクターが影響を受けて変化していき、気付けば非凡なキャラクターに影響を与える存在となるのが好きです。サラと生郎の関係性にどこか繋がっているかもしれません。
バイオレンスアクション』(浅井蓮次・原作:沢田新/小学館/やわらかスピリッツ)
この作品を読むことで、殺し屋が日常にいる温度感はクリアになった感じがします。最近ですと映画の『ベイビーわるきゅーれ』(監督: 阪元裕吾) で同じ温度感を感じました。
――― ウェブ上での連載と並行して「サンデーGX」にも掲載されるという珍しいパタンになりました。紙の雑誌に載っていることを見ての感想や印象などはありましたか。
素直に「すごく嬉しいな」と思いました。2話目のときの方が「わー、自分の漫画が載っている」という気恥ずかしさとか、そうした気持ちが新鮮に感じられたかもしれません。1話目は完成まで作画にもすごい時間がかかり、何度も何度も見直したときの自分の感覚が思い出されてどうしてもまたチェックをしている感じが強かったです。
――― いま読者として熱を上げている連載作品(マンガ)があったら教えてください。
女の園の星』(和山やま/祥伝社/フィールヤング)
星先生や周りの先生たちもさることながら、あの生徒たちのリアリティや絶妙なかわいらしさが最高です。
北北西に曇と往け』(入江亜季/KADOKAWA/青騎士)
新しい話を読みたいな、といつも待機しているといえば、この作品ですね。読者として大好きな作品はまだまだたくさんあるのですが、このあたりにて。
――― 2018年夏「マンガワン 新・月例賞」でのデビューまではどのようなな制作活動を、またデビューからこの連載までにはどのようなことに取り組まれていましたか。
デビューまでは友人とショート漫画をコミティアに出していました。漫画を描き始めたのは大学に入ってからだったので、すぐに就職活動をすることになってしまいました。就職してみるとコミティアに新作を描いていく余裕がなくどっちつかずとなり……。ちゃんとマンガを描こうと決めて雑誌の「ヒバナ」(小学館) の新人賞に投稿しました。それまでの持ち込み経験を思い返してみると少年誌に持ち込みをすると「少女誌っぽい」と言われ、少女誌に持ち込みをすると「少年誌や青年誌っぽい」と言われていました。そんな中で当時出たばかりの「ヒバナ」の創刊号を読んで並んでいた先生方の顔ぶれや題材(歴史・セクシャリティ・ギャグ・ラブロマンス…etc) からここなら何か合う部分があるのでは?と感じたのが投稿のきっかけだったと思います。その「ヒバナ」で担当さんがつき、元々の投稿作に修正したのがマンガワンの月例賞でデビュー作となった『放課後の隣人』です。(※担当さんの社内異動に合わせてマンガワンに出す形となりました)
デビューした後は「疫病が流行り、死が蔓延している平安時代」を題材にした連載企画を1年ぐらい練っていました。しかしこれが行き詰まってしまい、自分の中で当時の担当さんに中々連絡が取りづらい気持ちになっていました。そこで色々な意見を聞いてみようとコミティアの出張編集部に持ち込みをしてみたところ、今の担当さん(その時はスピリッツ編集部所属) から「一緒に新作を作りませんか?」とお話をいただき、そこから『ホテル・インヒューマンズ』を考え始める流れとなります。ただそこからも物語に落とし込む試行錯誤が続き、連載が決まるまで1年半くらいかかりました。その間に担当さんの社内異動も重なって最終的に「サンデーうぇぶり」での連載となりました。
――― マンガを描き始めたのは大学に入ってからとのことでしたが、何かきっかけはあったのでしょうか。
明確なきっかけというものではなく「それまでの流れ」の着地に近いと思います。小さな時は漫画家になりたかったのですが、高校で絵を勉強していくうちに周りの才能の凄さを目の当たりにして「とてもじゃないけどなれないな」と思うようになっていました。その体験から自分一人の力で出来ることよりも多くの人が携わって出来上がる映像の世界に興味を持つようになったのですが、自分から周りに積極的に働きかけていく性格ではなかったりと今度は多くの人で作る大変さに大学に入ったときにぶつかってしまいました。自分の中に「映像にしたいな」と思っていた企画があったのですが、漫画なら自分一人で監督・脚本・演出・キャストのすべてが作れる、これを形にするとしたら漫画だなと回り回って着地したのを覚えています。
――― 最後になりますが、はじめて作品に触れる読者の方に一言お願いできればと思います。
すこしでも楽しんでもらえたら嬉しいなと思っています。読んでもらえるだけで、時間を使ってもらえるだけで嬉しいです。キャラでもセリフでも何でもいいので、そこから少しでも好きになってもらえる部分を感じていただけたら幸いです。
田島青先生、ありがとうございました!
先生のイラスト表紙が目印のまんきき42号の頒布店はこちらで案内しています

「そこに意図的な”嘘”が生まれて、外連味のある画になる気がしています。」まんきき41号『思えば遠くにオブスクラ』靴下ぬぎ子先生インタビュー

火事で住居を失った28歳のフリーカメラマン・片爪。引っ越しを余儀なくされた彼女が次に住むと決めた場所はドイツで…?特に大志もなく、フラリと海外移住した彼女はどうなってしまうのか。主人公と同じくドイツに移住した著者が描く海外移住物語。ドイツでの日本人の生活やごはん事情が盛りだくさん、読めばプチ旅行気分を味わえます。

“ここ”じゃなくても自分がある
だからどこにだって行ける
そんな風に世界を楽しめたらいいなぁ

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――― 『ソワレ学級』(徳間書店/コミックリュウ) から久しぶりの単行本刊行となりました。今作の主人公がふらりとドイツに移住したのと同様、先生ご自身も海外に移住されていたとのことで驚きました。どんないきさつだったのでしょうか。
主人公の亜生と同様に、私も戯れ移住です。一度は海外に住んでみたいなとは思ってはいました。丁度、『ソワレ学級』の連載終了がワーキングホリデービザの年齢制限のギリギリだったこともあって、そのタイミングで移住しました。
――― またマンガの執筆をというお考えはあったのでしょうか。
機会があればやりたいなと思っていました。
――― マンガを通じて異国の街を観光しているような楽しさがあります。何か先生の工夫があるのだと思うのですが・・・。
移住ものは異国情緒が大切なので、建物の外装はもちろんですが内装の建具や小物がよりそれを担保するはずなのでそのあたりを気を付けました。亜生達の住んでいる家は、自分の住んでいたアパートや友達の家を参考にして3Dで作って、そこから作画していました。あとはそれらを描くために作画のカロリーを出来るだけあげることですね。
――― 建物や風景、陰影の描写にすごく楽しさを感じます。特に初読時に魅力的に感じた、1話ベルリンテーゲル空港の作画工程について教えていただけないでしょうか。正確に見えながら「マンガっぽい!」と惹かれるところに不思議を感じています。
テーゲル空港を含めた作中で出てきた場所は、資料用に使うので、できるだけ自分で写真を撮りに行ってます。とはいえ、なかなか一枚の写真で背景として完璧なものは撮れないので、複数の写真を合成して下絵に使い、そこからトレースをしました。なので、よくみるとパースが合ってないところがあるんです(テーゲル空港だとバスとかですね)。個人的な意見ですが、あえて見せたいところのパースをずらすと、そこに意図的な”嘘”が生まれて、外連味のある画になる気がしています。その外連味から読者の人が意図を感じてくれて、「漫画っぽい」となるのではないでしょうか。

まんきき41_引用その1

――― 主人公はスコットランドのエジンバラなど色々な土地に足を運びます。様々な都市をご覧になるなかでベルリンのベルリンらしさを感じるところがあれば教えて下さい。
道幅が広くて、近代的な建物がちゃんとまっすぐ建っているところ。よい意味で、地味で暗い雰囲気の街並み。ラフな恰好でゆるい感じの人びと。
――― 料理や食事のシーンもすごく美味しそうに描かれています。
作れるものは自分で作って、トレース用の素材にします。 コントラストを上げると美味しそうに見えるので、出来るだけベタ面を入れるようにしました。1話で出てきたケバブはよく食べました。安いし、どこにでもあるし、大抵美味しい。ベルリンのケバブは、日本で売ってるケバブの1.5~2倍くらいの量があって、ひとつで満腹になります。5話で出てきたトルコマーケットにも自転車で10分圏内だったのでたまに行ってました。ジンジャエールは夫が好きでよく作ってました。わたしは同じスパイス屋さんでクミンやコリアンダーを買ってカレーを作ることが多かったです。

まんきき41_引用その2

――― 海外での執筆活動で不便だと感じること、逆に便利だと感じることはありますか?
不便なこと:以前は23時までやってるWi-Fiと電源があるカフェがないことだったんですけど、コロナ禍になってそれも変わってしまいましたよね。今はそんなに変わらないと思います。便利なこと:住んでるだけである程度ネタになること
――― 片爪さん・石根さん・王子さんといった登場人物たちが纏う雰囲気やその人らしさも今作の魅力です。皆さんモデルになった方などいるのでしょうか?
特にモデルとなる人物がいるわけではないです。プロットの段階で主人公・片爪の性格が決まったので、そこからバランスをみて考えました。
――― 生きる場所を自分で決めていく/決められる、という姿に憧れを持ちます。『ソワレ学級』の登場人物たちにも繋がっているテーマだと思います。先生にとってこれまで転機になったのはどんなことがあったのでしょうか。
私の通っていた高校は平成に作られた東京都の実験校のひとつで、無学年制の単位制、自由主義かつ個人主義な校風でした(『ソワレ学級』の舞台の下敷きにしています)。学校や教師、親からも干渉されることなく、履修科目も何年かけて卒業するのかも、ほとんどすべてを学生が判断して決めていました。中にはこの自由すぎる学校が合わない人もいましたが、私にはすごく合っていて。10代のときに自由主義思想強めの学校で生活したことが、その後の価値観にもつながっているのだと思います。
――― 先生が作品作りに影響を受けたと感じているマンガはありますか?
小さい頃一番読んだ漫画は、川原泉先生の作品です。少し俯瞰した視点で描かれるストーリーと、それを通して感じる高くも低くもない一定の温度感がものすごく好きでした。何度読み返しても新しい面白さがあって、強度のある作品ばかり。作品タイトルもどれもこれもお洒落で、時間が経っても素敵だなぁと思います。大人になってから感銘を受けたのは、豊田徹也先生の作品です。特に『アンダーカレント』(講談社/アフタヌーン) は好きすぎて、人に布教で配ったりして、結局3冊くらい買いました。流れるようなコマ割り、味のあるキャラクター、隙のない作劇、美しい漫画だなと思います。
――― 移住に際して、手放さず一緒に連れてきた本があったら教えて下さい。
ベルリンに引っ越す時、手持ちの本はほとんど裁断して電子化したのですが、どうしても切れない本がいくつかあって、それを実家用の段ボールに詰めました。実際、パッキングしてみたら、1、2冊くらいなら入りそうな余裕があったので、ネームの手助けになりそうな『マンガの創り方 誰も教えなかったプロのストーリーづくり』(山本おさむ/双葉社) と、その近くにあった『瞳子』(吉野朔実/小学館) が目に入って、直観的に手に取ってトランクに詰めました。『マンガの創り方』は商業連載をはじめたころに手に入れた本。作劇術の本はたくさんありますが、装丁もソリッドなので置いてて嫌じゃないですね。高橋留美子先生の短編漫画も参作として載っていて、それも好きです。『瞳子』は大学生の頃に友人に勧められて買った本。淡々とほどよい緩急で進む物語、清涼感のあるオチに相反したちょっとした後味の悪さがたまらなく好きです。祖父江慎さんと芥陽子さんの装丁もかっこいい。
――― いま読者として熱を上げている連載作品(マンガ) があったら教えてください。
最近のものは読めていないのですが『らーめん再遊記』(久部緑郎・河合単・石神秀幸/小学館/ビッグコミックスペリオール) は追って読んでいます。漫画じゃないものだと最近は『三体』(劉慈欣・立原透耶・大森望・光吉さくら・ワンチャイ/早川書房) を買って読み始めました。
――― ドイツではどんなマンガを見かけますか?ドイツならではの流行りものはあったりしますか?
すみません、ちょっと疎くて。3年前くらいに行ったベルリンのLittle Tokyoという本屋さんにドイツ語訳されている日本の漫画は置いてありましたね。
――― 語感がすごくよいタイトルはどのようなプロセスで決まったのでしょうか。
ダジャレに強い友人たちとブレストをして決めました。オブスクラという単語をいれることを軸に、
「見知らぬオブスクラ」
「はじまりはオブスクラ」
「おなかがオブスクラ」
「どこのドイツのオブスクラ」
「思えば遠くにオブスクラ」
っていう案に絞られて、最後はわたしの独断で決めました。「見知らぬ…」が安牌かなあと思ったんですが、内容を伝える事を犠牲にしても語感の良さや引っ掛かりを優先したかったので、友人案の「思えば遠くにオブスクラ」にしました。
――― この後すぐに発売となる下巻収録予定15話での演出が非常に印象に残りました。「表現できる」と捉えられたことに不思議を感じるというか・・・とにかくカッコいいです。これは実体験から得た着想なのでしょうか。
1冊の本の中で1話くらいは、演出に軸足を置いた回があると全体が引き締まるかなと思っていて(上巻だと7話の石根の仕事の回とか)。3Dソフトのカメラをグルグルまわして構図を決めることが多く、レンズを通した視点があるといいかもなと思いついて。撮影者と被写体の関係性は、神視点のカメラで描くよりも、撮影者のカメラそのままで描いた方がダイレクトに伝わりそうだったので採用しました。作画カロリーも低いアイデアだったので挑戦しやすかったってのも本音です。
――― 今作の中で作画カロリー高かったなぁと思い返すのはどのシーンですか?
特定のどこというよりも全体を通してカロリー高めだったのできつかったです。下巻の150pから154pのシーンはカロリー自体は低かったのですが、苦手とする抽象的な描写が必要だったので頭を抱えました。雑誌に載せたものがいまいちしっくりこなかったので、単行本修正の時に大幅に手を入れました。
――― 先生の原稿後の癒やしがあったら教えて下さい!
ひたすらに寝ることです。
――― また下巻では登場人物たちの内側にグッと迫るような、ドキドキする回に引き込まれていきます。今作ではこの3人の着地というのは最初から決めて進めておられたのでしょうか。
オブスクラは、連載開始時は3話確約だったんです。連載中に、5話、7話…と伸びていったので、じゃあ本を想定して縦軸をちゃんと作ろう、と。そのあたりから着地をぼんやり見据えて全体の構成を考えていきました。主人公・片爪の内面の問題を描くために、石根の関係性だけではなく、後輩の王子からの視点や下巻に出てくる洋子との出来事を入れ込みたかったんです。
――― 連載は無事に完結となりました。次回作を楽しみにしていますが、もう取りかかっておられるのでしょうか。
取りかかってはいないですが、構想はいくつかあります。やらせて頂けるなら、描いたことないジャンルに挑戦してみたいです。とはいえ、インプット不足なのでとりあえず色々摂取したいですね。3Dももっと勉強したいですし、アニメーションや他の領域も触ってみたいなと思います。そのための作業用のPCも限界を感じるので新しく組みたいです。
――― 慣れてもきたとも思う海外暮らしですが、この先の生活について何となくお考えのことがあれば教えてください。
決めてないです。嫌でもいつかビザの関係で決めなきゃいけない時がくるので、その時まではぼんやりしてようと思っています。
――― 最後になりますが、はじめて『思えば遠くにオブスクラ』に触れる読者の方に一言お願いできればと思います。
Twitterの告知の仕方に問題があったのかもしれないですが、このお話を実録エッセイと思われる方がいるみたいで…。あらゆる体験がベースにはなっていますが、基本はフィクションの物語です。おたのしみください。
靴下ぬぎ子先生、ありがとうございました!
先生のイラスト表紙が目印のまんきき41号の頒布店はこちらで案内しています

「歴史モノは読まなかった方々にも入りやすい内容になっていると」まんきき40号『キンとケン』しちみ楼先生インタビュー

『キンとケン』書影

時は紀元前──中国、前漢王朝の時代。
史上最も哀しい皇帝=哀帝と呼ばれた劉欣(リュウキン)と
彼を支え続けた官人、董賢(トウケン)の知られざる物語。

教科書を読めば歴史がわかる
しかしそこにはその時代を楽しく、辛く生きた人がいた
「正史」と「面白い」の間に描かれたキャラクターたち
やっぱりマンガって面白い

作品の試し読みはこちら!

――― まずは今作のテーマに驚きました。前漢という時代、そして哀帝と呼ばれた皇帝・劉欣と彼に仕えた董賢という人物、いずれもはじめて触れることになる読者も多いと思います。このテーマはもともと先生の中でご興味があったものなのでしょうか。
まさに【興味のある分野をひたすら掘り下げていった】という感じです。元々、中国や韓国の宮廷ドラマが好きだったのと、純粋に読者としてBLやブロマンス作品が好きで、いつか自分でも描いてみたいと思っていました。いざ自分で描いてみようとなったときに悩んだのは、完全にオリジナルキャラにするかどうか…。そのときにふと故事成語に【断袖】って言葉があったなぁと思い出しまして、そこからその言葉の背景事情であった前漢末の時代や哀帝、董賢について調べるようになりました。当初は哀帝と董賢が仲良く過ごす「宮廷ラブコメ」みたいな感じにしようかなと思っていたのですが、前漢末の歴史を調べていくうちに、その時代がすごく動乱の時代で歴史が大きく動いていく中で皇帝も民も翻弄されていたいうことが分かり、せっかく実在する人物が主人公なのだからできる限り史実も交えた作品にしようと思い、「宮廷ラブコメ」の方針はやめて「宮中での政争とそれに立ち向かう二人」の物語にしました。
――― ブロマンス的という着想はなるほどと思いました。先生がグッとくるメンズの関係にはどんなものがありますか?今作のふたりは荒波に身を寄せ合うような麗しさですね。
ひとつの目的に向かって手と手を取り合って立ち向かっていくような関係性が好きです。最近はまった作品というか歴史書だと『正史 三国志』の孫策と周瑜の関係が好きです。乱世において孫呉というある意味【ベンチャー起業的な国】を立ち上げるべく奮闘した二人の関係性に燃え(萌え?) ます!孫策は割とぽっと出の軍閥の若きリーダーで、周瑜は代々続く名家の生まれという対照的なバックグラウンドを持つ二人が目的をひとつにするというあたりにすごく魅力を感じます。
――― 話の合間に「勉強コーナー」を設けるなど読者にこの時代のイメージをもってもらうことに心配りを感じます。言葉選びも「モラハラ」や「パパ活」など現代的なところを用いていることで作品に入りやすいです。
自分も含め前漢末という時代についてわからないことだらけだったので、まず読者さんに「難しい!」という印象を与えたくないと思い、敢えて現代風の砕けた表現を使いました。背景をよく見ると観覧車があったり、原付に乗ってる人物などがいたりするので、【あまり馴染みのない時代の歴史マンガ】ではあるけれど堅くならずコミカルなエンタメ作品として楽しんで頂けたらと思っております。勉強コーナーに関しては作中で説明不足かと感じた部分を別枠で紹介しています。本編を描くにあたって調べた内容を読者さんにもシェアして【難しくないよ!一緒に楽しもうよ!】というのがコンセプトです。…とはいえ自分は漫画家であって歴史の専門家ではないので「間違っていたらどうしよう!!」と毎回ヒヤヒヤしながら描いてましたねw いまもヒヤヒヤしています!!!
――― 前作『ピーヨと魔法の果実』からは絵柄の印象がガラリと変わりました。これだけの引き出しはどのようにして得られたのでしょうか。
いつも新しいマンガを描こうと思った時に、まず頭の中で「その作品のアニメ」が断片的に放映される(イメージが浮かぶ) のですが、アニメって作品(番組) によって絵柄が違いますよね。そしてどの作品もその世界観と絵柄がぴったりマッチしていると思うのです。私は作品の世界観と絵柄のマッチって、物語を読み進める上で読者さんに違和感を感じさせないという意味ですごく大切なことだと考えておりまして、まず頭の中で浮かんだアニメ(イメージ) の絵柄をできるだけ忠実にマンガとしてアウトプットしようと心がけています。その結果、絵柄がガラッと変わるという現象が起こるのだと思います。手癖で描けないので時間がかかるのですが、完成イメージを紙に描けるようになるまでひたすら練習する…という謎の工程を経て絵柄の選択を行なっているという感じです。
――― 今作の絵柄はすごく目に易しいというか、導入しやすいという印象です。
前作の『ピーヨ』はブラックジョークの効いたホラー絵本みたいなコンセプトだったので、割と描き込みを多くして怪しい蟲がモゾモゾ涌くような…有機物的な画面作りを目指していたのですが、今回は【前漢末というあまり馴染みのない時代を題材にした歴史漫画】を描く上で、とにかく堅苦しくならないように、できるだけ描き込みを抑えて、『ピーヨ』とは対照的に無機物的な記号っぽいキャラ造形にすることでライトで読みやすい画面作りを心がけました。
――― アニメにもよく親しんでおられるのでしょうか。
実は普段漫画よりアニメを観ることが多くて、作業中にBGM的に延々とアニメを流したりしています。アニメを観ていると場面転換やカメラアングルなどがとても工夫されていることが分かりまして、漫画制作におけるコマ割りや構図作りの参考にしています。『キンとケン』においてアニメの影響を受けている構図を例に挙げると…背景をわざとピンボケにしているシーンが沢山あるのですが、あれは奥行きを出したり、ピントの合っているキャラに視線がいくようにアニメの手法を真似しています。
――― アニメ作品で演出に思い出深い作品・シーンはどんなものですか?
押井守監督や今敏監督のアニメが好きなのですが、攻殻機動隊のスピンオフ作品『イノセンス』と『パプリカ』にはものすごく影響を受けました。イノセンスにもパプリカにも「おもちゃの行進」みたいなシーンがあって、とにかくポップなのに禍々しくそれでいて神々しいという【終わらない悪夢】的な雰囲気が大好きで、第4話の祭祀の場面は完全にあの雰囲気のパク……オマージュです!!!また、今敏監督の作品は平沢進さんの楽曲がよく使われているのですが、作業中にもよく『パプリカ』や『妄想代理人』のサントラを聴いていました。
――― 今作が描く当時の資料/史料は豊富なのでしょうか。また参考にしている書籍があれば教えていただければと思います。
哀帝と董賢は故事成語を残している割には資料が少ないんですよね。それゆえに色んな資料をつまみ食いすることになり、参考文献が膨大になってしまいました。そもそも歴史漫画を描くということ自体が全く初めての経験だったので、まず「どの資料が資料として使えるか?」という選別が難しかったです。参考にしている書籍はまず正史である『漢書』(ちくま学芸文庫) です。これは後漢の時代に班固(とその一族) が前漢時代の記録をもとに編纂した歴史書で、各皇帝の時代に起きた事件やその事件に関わっていた人たちの事柄が簡潔に書かれているので、制作の上での土台になりました。あとは『王莽 儒家の理想に憑かれた男』(白帝社) です。王莽の資料は哀帝・董賢に比べると意外と存在していまして、王莽の資料を通して主人公二人やその時代を垣間見ることができたように思います。
――― 劉欣が宮廷をこっそり抜け出し董賢の家族を訪ねるエピソードが心に残りました。史実と創作の塩梅が難しいところだと想像するのですが、気にかけていることはありますか?
「劉欣が董賢の家族を訪ねるエピソード」は全く漢書には記載のないオリジナルエピソードなのですが、哀帝の前の皇帝・成帝の時代に成帝が仲良しの臣下と一緒にお忍びで街に出て遊んだという記録があるので、もしかしたら哀帝もお忍びで遊びに出かけたこともあるかもしれない、と思って描いたエピソードです。漢書の記載内容をベースにしつつ【もしかしたらこんなことをしていたかもしれない】という想像を膨らませて描くというのが本編制作の基礎となっています。なので、史書に無いオリジナルのエピソードとは言いつつも、あまりにもぶっ飛んだ内容(劉欣と董賢がアメリカ旅行する!!!!とか) にはせず、他の時代の人物の言動や思想(儒教などの価値観) を参考にしつつ、【このくらいならありそう】な範囲の出来事を捏造(!) して挟むくらいのさじ加減にしました。
――― 『キンとケン』からさらに後の時代についてもマンガ作品が少なくなっています。様々な資料にあたられるなか、先生の中で他に描いてみたい時代・人物などはいかがでしょうか。
やはり先ほど挙げた後漢末~三国時代の呉を舞台にした孫策と周瑜の漫画を描いてみたいです。あとは唐の時代になると李白や杜甫、孟浩然といった詩人が活躍する時代になって、その頃ってすごく華やかだったんじゃないかな?と思い、興味があります。あとは『キンとケン』より前の時代になりますが、孔子とその弟子たちの関係性も好きなので、孔子達が活躍した春秋時代の漫画も描いてみたいところです。
――― 今作の連載については担当編集さんからのお声がけなのでしょうか。打ち合わせではどんなことをお話されましたか?
もともとツイッターやpixivで『キンとケン』のプロトタイプ的な漫画を3話分公開していて、割と反響が良かったので「商業連載いけるかも知れない!」と思って何社か持ち込みをさせていただいたのがきっかけです。それで一番早くお返事をくださったのがマトグロッソさんで、しかも担当編集さんが中国史や中国語にお詳しい方だったこともあって、連載に向けて色々ご相談させていただいたという流れです。プロトタイプの『キンとケン』がちょっとエロいコメディ漫画だったのですが、この先どう展開させていくか悩んでいた部分がありました。連載前の打ち合わせで相談したところ担当さんが「むしろエロ無しのシリアス路線で大河ドラマとして描いた方がいいかも?」とアドバイスしてくださり現行バージョンのストーリーになりました。
――― Twitterを拝見するといま『源氏物語』にも触れておられるご様子です。単純に比較できるものでもないですが、日本史だとどういった部分に面白さを感じますか?
源氏物語』は作業中に朗読を聞いている感じですね。現代人の感覚ですとちょっと光源氏の言動が許せない気分になるのですが、当時の人たちの価値観ではあれが素敵だったのかな……などと色々気になるところでございます。あと、私恥ずかしながら日本史は全く詳しくないです!!!ですが…少し前に『古事記』を読んだときにとても素朴な印象を受けました。ウサギやカエルの神様がいたり、オオクニヌシと小人のスクナビコナが旅をしながら(ときに糞便を漏らすなどの大失態!?もやらかしつつ) 国を作ったりと…神話時代の話なので日本史???といった感じではあるのですが、そこはかとない素朴さにほっこりしました。全体的に妖怪チックでかわいいですよね日本の神様。
――― 単行本表紙のカラーがとても素敵です。色使いでこだわっているところを教えていただきたいです。
今回は「歴史・中国・宮廷」の雰囲気を出すために日本画用の絵の具を使って和紙に描いたものをデジタルで加工しました。少しくすんだ落ち着いた色合いでまとめつつ、宮廷のゴージャス感も出したかったので着物の柄を細かく描き込みました。表紙のキンが着用している服は冕服という古代中国の儀式で着用されていた服で、『礼記』という本の図版を参考にして日や龍、北斗七星、鉞などのモチーフを入れました。伝統的な画材で描くことで歴史っぽい風合いが出たんじゃないかと思っています。
――― 先生の作画環境について教えていただけますと幸いです。
ネーム、下書き、ペン入れまではアナログで作業しています。ペン入れはスクールペンという細くて均一な線が引けるペン先を使ってケント紙に描いています。ペン入れまで終わったらスキャナで取り込んでクリップスタジオというソフトでベタや陰影をつけたり吹き出しを入れたりしています。前作『ピーヨ』はペン入れからほぼ完成まで水彩画用紙に絵具で描くことで絵本っぽい雰囲気を出していましたが、本作は少しメカニカルな作画にしたかったのでデジタルの作業工程を増やしました。
――― 影響を受けた漫画家さん、イラストレーターさんを教えて下さい。
ネーム制作など画面のコマ割りや構成は外薗昌也先生(編注:ホラー作品で知られる。代表作に『鬼畜島』など) の影響を受けました。外薗先生の作品って本当に読みやすくて、なおかつ次から次へとページをめくってしまう「読み手を作品に没入させる吸引力」があるように感じていて、自分もそんな吸引力のある漫画を描けるようになりたいと日々精進しております。絵柄に関しては、そのときどきで色々なので自分でもどなたの影響を受けているのかよくわからなくなっているのですが、葛飾北斎がサラサラっと描いたようなクロッキーとか、琳派の草花などの、モチーフがデザイン化された日本画とか、少ない線で単純化・記号化された絵が好きです。
――― マンガを描きはじめたきっかけや、先生の小さな頃のことを教えて下さい。紙や画材への取り組みから元々は絵画の畑におられたのかなと想像するところです。
おそらく物心ついた頃にはチラシの裏に絵を描いたりしていたような気がします。はじめて漫画を描いたのは小学生の頃、学級新聞で”ミンちゃんとボーとカメさん”というタイトルの4コマ漫画を連載(?) していました。確か……エビフライの恐妻ミンちゃんと、ミンちゃんに翻弄されるムツゴロウの旦那さんボー、そして年長でボーの相談役のカメさんが出てくる日常系漫画だったと思います。今思うと、何故その題材で書こうと思ったのかさっぱりわかりません!!中学に入ってからはV系バンドが大好きで、CDジャケットの模写などしておりました。その後高専に進学してからは就職氷河期ってこともありお絵描きは封印して勉強とバイトに勤しんでおりました。就職してからもずっと絵は描いてなくて、10年くらい会社員をやったところで結婚&夫の転勤を機に勤め先を退職したのがきっかけでお絵かきや漫画を再開した感じです。なので基本的に独学で、絵画を学問として履修したことが無いんですよね…いつかカルチャースクールとかに行ってデッサンから勉強したいところです。
――― いま読者として熱を上げている連載作品(マンガ)があったら教えてください。
読者として純粋に楽しんでいるのは霧隠サブロー先生の『魔装番長バンガイスト』(リイド社/LEED Cafe)とジェントルメン中村先生の『セレベスト織田信長』(リイド社/LEED Cafe)です!両方とも所謂『魁 男塾!』(宮下あきら/集英社)的な拳で語る男漫画といった感じで、無骨な線で筋肉モリモリのキャラ造形…支離滅裂なようでどこかほっこり優しいストーリー…毎回楽しく拝読させていただいております。(ああいう漫画、私も描けるようになりたいですよ!憧れる!)
――― 正史としては悲しい行く末も見えている物語ですが、ここからの展開を描くにあたっての抱負をいただければと思います。
歴史フィクションとはいえ、正史に沿った内容にしているので、『漢書』の結末を覆すような展開にはならないですが、それでも読者さんにとっても、私にとっても、そして主人公ふたりにとっても納得のいく終わり方になればと思います!!(実は三月現在すでに完成していて、あとは4月の公開を待つばかりなのです!)
――― 最後になりますが、はじめて作品に触れる読者の方に一言お願いできればと思います。
中国の歴史漫画で、しかも紀元前のマイナー皇帝!という少々堅そうな題材ではありますが、三国志や水滸伝等の中国史ファンの皆さんはもちろん、今まで歴史モノは読まなかった方々にも入りやすい内容になっていると思うのでぜひぜひお手にとって頂ければと思います!また、拙作きっかけで『漢書』や『史記』、『詩経』や『尚書』といった中国の古い書物に興味を持ってくださる方が増えたら作家冥利に尽きます。
しちみ楼先生、ありがとうございました!
先生のイラスト表紙が目印のまんきき40号の頒布店はこちらで案内しています

「辛い時そっと隣にいる友達のような存在になれたら幸いです」まんきき39号『自転車屋さんの高橋くん』松虫あられ先生インタビュー

『自転車屋さんの高橋くん』3巻書影

飯野朋子(はんのともこ)、略してパン子30歳は会社でもプライベートでも本音が言えないのが悩み。
そんなパン子にそっと寄り添う、心優しいヤンキーの高橋くん。
キスしてから一緒に過ごす時間が増えたけど…これって付き合ってるのかな?
「ヤンキーの人に、良いように利用されてるんじゃない?」
以前デートに誘ってきた同僚・山本さんから
今いちばん言われたくないことを突っ込まれてしまい…!?
世話焼き年下ヤンキー×ちょいネガティブなアラサー女子のご近所ラブストーリー♥
『自転車屋さんの高橋くん』公式Twitterアカウント @TAKAHASHI_cycle

「自分らしくありたい」って難しい。
もし誰かといることでそうなれたら、
それはすっごく素敵かもしれない。

作品の試し読みはこちら!

――― 男女問わず高橋くんにメロメロにされている書店員一同です。この作品のタイトルにもなっている高橋くんですが、彼はどこから生まれたのでしょうか。
本当に何となく…と言いますか、よくコミティアに参加していたのですが何か4ページの無料配布の漫画を描こうと思って、何かネタが無いか考えていた時に「そういえばこの間自転車の修理に持って行ったお店の店員さんがツナギを着たイケメンだったな~」とか思い出して描き始めたのが始まりです。※https://twitter.com/i/events/922483816014295040
――― 偶然の出会いから生まれた作品だったんですね!そんなイケメン店員さんの外見から、こんな内面のキャラクターがいいなと思ったのはどんなきっかけだったのでしょうか。
自転車屋さんで見かけた店員さんは、ヒントとなっただけで見た目は高橋くんと全然違います。どちらかといえば高橋くんを作るエッセンスとなったのは今まで出会った「見た目はちょっと怖いけど優しくしてくれた人達」が元になってると思います。
――― 前作『鬼娘恋愛禁止令』(徳間書店/COMICリュウ) の主人公も不良要素のある男の子でした。先生のツボがここに・・・?
当時これと決めていたわけではないんですが、例えばクラスで皆が「何だよあいつ」って思うような子って本当は意外な一面があるんじゃないかとか、内に秘めてる想いがあるんじゃないかとか、大勢の中から取り零れてしまった人、またはそれを自ら選んでる人の事が気になるという所は常にあります。
――― 高橋くんと主人公の朋子(パン子) のふたりを見ていて、こういう恋愛マンガも素敵だなと癒やされながら読んでいます。先生自身は一話一話のストーリーを創るときにどのようなことを考えているのでしょうか。
とにかく高橋くんといい、パン子といい、そのキャラ「らしさ」を失わないように気を付けています。高橋くんもパン子もこういう人間だからこういう事で意気投合したり衝突したり…など、そのことによって話が動くことを重要に考えてます。
――― Twitterで公開されていたマンガから商業連載へと発表先が変わるにあたって、何か意識されたことはあるのでしょうか(パン子は言葉遣いからもいまとは少し違った印象を受けますね)。
特に何も考えてないのですが、やはり同人誌は自己満足なところもあるので編集さんが入ることでテーマをもっと的確にしたというか、もっと煮詰めていった感じがあります。
――― 高橋くんが何を考えているかということについては行動や仕草から感じとることが多いのですが、先生の中では高橋くんのハッキリとした行動基準はあるのでしょうか。
高橋くんはあまり語彙が多くない人なので、あまり饒舌にしゃべらせないようにしてます。相手の感情に敏感という点では動物を参考にしたりしてしまいます。
――― 高橋くんの好きなお店や行動範囲にリアルな生活感を受けているのですが、モデルになっている町があるのでしょうか。
高橋くんが住んでいる街は、自分の出身の街を資料にしています。田舎過ぎず都会過ぎもしないので丁度いい街です。
――― 高橋くんが使う岐阜弁(のなかでも美濃弁なのかな、と思うのですが) を可愛く感じています。方言男子を書く楽しさ・難しさなどあれば教えてほしいです。
地方のマイルドヤンキー感を出したかったので、そのあたりしかこだわってないです。よく名古屋弁と間違われてしまうので、岐阜っぽい言い回しを吟味するのに時間がかかってしまったりはします。
――― 先生のカラー絵が繊細でとても好きです。お気に入りの画材など教えていただきたいです。
ホルベイン透明水彩の絵具と色鉛筆です。これでしか描けません(笑)。12色のセットしか持っていなくて今まで色を混ぜまくってたのですが、チャリ橋くんの連載を始めて絵具を譲っていただいたりしたので今は結構色んな色を使えてます。
――― 作画はどのあたりまでアナログで行われているのでしょうか。また1話あたりはどのぐらいお時間をかけていますか?
作画は背景までアナログで描いてます。それをPCに取り込んでトーンなどの仕上げをアシスタントさんにお願いしてます。1話あたり大体2週間ほどです。最初は中々間に合わず編集さんに締め切りを伸ばしてもらってましたが、やっとペースをつかんできたように思います。
――― 連載のペースをつかめたきっかけは何かあったのでしょうか。
単純に何度も描いてペースが上がって行ったというのがありますが、アシさんを導入しどこまで任せられるかを見極められるようになったことが大きいかも知れません。
――― アナログ作画の際の画材はどのようなものを使っていますか?
――― お話づくりに際して担当編集さんとはどんなことをお話されていますか?
有り難い事に担当さんとは価値観が似ている(と思う) ので、大事にしたい事などが一緒で伝えたい事に関してはいつもすんなり打ち合わせ出来てるように思います。最初の方は私が恋愛ものに疎くて担当さんに「もうちょっとこういう所が見たいんです!」(ふたりが手をつないでる等) と要望をお伝えくださる事がよくありました。
――― 恋愛ものに疎い、とのことでしたがもし印象に残っている恋愛ものがあったら教えてください。
恋愛ものはどうしてもドロドロ展開になるのが怖くて勇気がいるんで『アメリ』ばっかり見てしまいます(笑)
――― パン子の職場での悩み、すごく分かります。先生にもお勤めの経験があるのでしょうか。
殆ど無くバイトや派遣しかないので逆にそう感じていただけて有り難いです。分らないことは似たような会社に勤めている友達に聞いたりしてます。
――― あまりマンガに関係のないことですみません。先生は冬の寒さ対策はどのようにされているのでしょうか。作品の生活感が素敵なのでつい知りたくなってしまいました。
めちゃくちゃ冷え性なので前は脹脛(ふくらはぎ) まで冷えていました。厚手の靴下・ブランケット・電気ヒーターが必須でしたが、家を建てまして断熱がしっかりしてるのと床が無垢材になったおかげであまり寒くなく、また筋トレをがんばっているのでエアコンかガスヒーターをつけるのみで素足で過ごしてます。
――― 先生が作品作りに影響を受けたと感じるマンガはありますか?
主に手塚治虫作品や楳図かずお作品の影響が大きいです。チャリ橋くんは最初ゆるい話になるだろうと思ってたのに、描くにつれてどんどん「人間ってなんなんだ」って気持ちになってくるので上記の先生たちの影響が大きいのかなと思います。あとシンプルに絵柄ですかね。楳図先生の描く女の子好きなので。
――― それぞれの作品との出会いはどんなきっかけだったのでしょうか。
手塚先生の作品は高橋くんみたいに小学生の頃に図書館で読んだ『火の鳥』と『ブッダ』が始まりです。楳図先生の作品は従弟が読んでいたのを読ませてもらったのが始まりです。
――― 楳図かずお先生の美少女絵、これまで気づけていなかったのですが確かに素敵ですね。楳図かずお先生のなかで特に好きな(オススメの) 作品はありますか?
すぐ思いつくのは『漂流教室』(小学館)です。特に現代だとコロナ禍で起きていることを象徴しているように感じる場面も沢山あるのでお勧めしたいです。全体的に楳図先生の作品は怖いだけじゃなく「人間とは」的なことを考えさせられる場面がたくさんあって好きです。
――― いま読者として連載を追いかけているマンガがあったら教えてください。
ダントツで椎名うみ先生の『青野くんに触りたいから死にたい』(講談社/アフタヌーン) が好きですね。漫画としてかなり面白いうえ雰囲気もテーマもちょっとエッチなのも、椎名先生が大事にしたいであろうこと全てが心地いいです。
――― 先生がマンガを描きはじめたきっかけはどんなことだったのでしょうか。
最初に描き始めたのは小学生の頃だったかと思います。ドラえもんの漫画の展開をそのままパクってキャラは自分で考えて描いていたような気がします。本当に漫画家を目指そうと思ったのは高校生からです。
――― 「本当に漫画家を目指す」ということが痺れるワードでした(書店員としては感謝するばかりです)。そう思ったきっかけや、そのとき目標にされたことなど、少し詳しくお尋ねしてもよいでしょうか。
漫画は描きたいけど、漫画家になる!とは本気で思ってなくて、高校の進路を決める時美術の先生になろうと思ってました。でも友達に「何で漫画描けるのに漫画家目指さないの?」と言われて、よく考えたらこんなに学校の勉強が嫌いなのに先生になる方が現実的じゃないと思って漫画家を目指すことにしました。その時18くらいだったのに普通に20歳でデビューしたいとか考えてて、結局ちゃんと仕事出来たのはその10年後くらいでしたね。
――― 中学生・高校生の頃の「なんか忘れられない」ような思い出はありますか?
中学の時、同じ部活でとある一個上の先輩(男子)が居ました。周りの人に「あの人あられちゃんの事好きなんだって」と噂されていたのが嫌だったので、その先輩に対して冷たい態度を取っていました。ある日部活が遅くなって親の迎えを待っていたときに、自転車で帰れるはずの先輩がそうせずに近くにいるので「何なのこの人…」と思ったんです。でも私の親が迎えに来たらその先輩が帰っていって、それを見た母親が「暗い中あなたを一人にしたら危ないと思って居てくれたんじゃない?」と言われ、冷たい態度を取ってしまったことを後悔したことが忘れられないですね(実際、好かれていたかは分りませんが…)。
――― 「ananマンガ大賞」での準大賞受賞、マンガの棚を超えた幅広い読者の方から作品が好まれる証左だったと思います。『自転車屋さんの高橋くん』について先生は読者の方からどのような反響を受け取られているでしょうか。
私は作中のキャラクターを大体「よくいるその辺の人」で描いてるのですが、読者さんからはキャラクターに自分を重ねて考えてくださったご感想が多くいただいています。中でも一番印象が強かったのは山本さんという自分の価値観を無意識に人に押し付けてしまうキャラクターに対して「自分も同じような恥ずかしい事をしてると気づいた」と教えてくださったことが自分の中でとても大きい収穫でした。
――― 3巻ではさらに距離が近づいたふたり、この先の展開もとても楽しみですが先生がこの先「描きたい!」と思っているシチュエーションはありますか?
割と漠然としてますが、いつか高橋くんとパン子が旅行に行く回などは描いてみたいですね。
――― 最後になりますが、これから作品に触れる読者の方に一言お願いたします。
高橋くんとパン子は本当に最初は何となくで描き始めました。でも二人を描くにあたって身近な人を参考にしていくようになり、次第に「人と生きるとは何なのか」「自分を大事にするとは何なのか」ということを考えるようになりました。皆さんその人なりに生き辛さを抱えて生きていると思います。『自転車屋さんの高橋くん』を読んでも生きていくためのヒントはないと思いますが辛い時そっと隣にいる友達のような存在になれたら幸いです。
松虫あられ先生、ありがとうございました!
先生のイラスト表紙が目印のまんきき39号の頒布店はこちらで案内しています